理想恋愛屋
「ブルー!だめよ!!」

 倒れたオレの体をピンクが抱え、オレの頭を膝に乗っけてくれた。

大きな彼女の瞳が心配そうに揺れる。


「あたし、まだ言ってないことがあるの…!」


 …え、もしかしてこのパターンって…!


 期待と不安、焦りが襲いながらも、次の彼女の一言を必死に待つ。


「アナタのこと…っ!」


 だけどオレは遠のく意識の中、呼ばれる声が消えていくのをただただ聞いているしかなかった。








 ……お…い…。


 ふわふわと海にでも揺られるような感覚。


――あれ、何してるんだっけ?

ただ心地のよいその震度に、身を預けている。



 …葵……。


 微かだけれど、確かに呼ばれた。
それは、とても聞き覚えのある声で…。


――そうだ、オレは彼女の前で倒れるわけには行かないんだ…!

 彼女の次の言葉を、聴くためにも!



「葵!!」


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