理想恋愛屋
 強く呼ばれた瞬間、オレはパッチリと目が開いた。

 まず飛び込んできたのは、驚いたような顔で出迎えた彼女。
ふぅ、と小さく息を吐いた彼女は、少しだけやわらかく笑った。

「よかったぁ…」

 安堵するのはまだ早い。
彼女の方を思い切り掴んでいた。

「おい、ピンク!続きはなんだ!?」

「な、なんなのよ、イキナリ!ぴ、ピンクって…っ」

 さっきまでのか弱い彼女ではなく、いつもの口調。
だけど、それは強がりなんだって知ってる。


「オレのこと…!」


 言った瞬間、彼女の頬が赤く染まる。

「んな…!?何いってんのよ、馬鹿ぁああっ!!」


 聞き終わることもなく、彼女の手のひらがオレの頬にパッシン!と衝撃が走る。


 ええぇえっ…!?


 オレは見事にそのままソファに倒れこむ。



 ………。

 …ん?ソファ?


 痛みが走る頬に手を当てながらゆっくり見渡す。

見慣れた事務所の革のソファの足。
肩で息をして、それに揺られている彼女の制服のスカートの裾。


 ……ココは…。

「オレの、事務所…?」


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