理想恋愛屋

1.恋は唐突に!?

 プルルル……。

ひどい頭痛に襲われている中、どこかで電話が鳴り響く。


 プルルル……。

無視しようと思ったけれど、無意識に体が反応して目をつぶりながらデスクに腕を伸ばす。


 わずかな感触で受話器を判別すると、そのまま耳に当てた。


「…はぁい……」


 オレが出たのにもかかわらず、まだ辺りにはプルルと鳴っている。

面倒になってきたので重い瞼をゆっくり開くと、携帯電話が目の前に差し出される。


「はい、どうぞ」


「どうも…」


 受け取って通話ボタンを押すと、ようやく通話ができた。


「はい、もしもし…」


 オレが応答した瞬間だ。


『もっと早く出なさいよ!』


 キーンと鼓膜を突き刺すように責め立てるのは、例のお騒がせな彼女。

怒り返す気力もなく、はあ、と短いため息をついてしまった。

「ったく、なんなんだよ…」

 ガシガシと頭をかいて、ソファに座りなおした。

 その時だ。



 ………あ、…アレ…?


 何度も何度も目をこすってみる。
だけど現状が変わってくれることはなかった。


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