理想恋愛屋
「な、なんだよ?」

 強気のつもりなんだけども、なぜか彼女の反応が怖くてたまらない。

ごくりと生唾を飲み込んだ。


『冷凍庫にアロハ家のアイスあるでしょ?バニラの在庫、どれくらい残ってる?』

 彼女はそれ以上言葉を続けない。



 ……はい?

それだけのため…?



 ぽかんと口を間抜けに開いてしまったが、とにかく気を乱さないために冷蔵庫に向かう。

 以前、強制的に購入しさせられたこの冷蔵庫。

その中の冷凍室は、彼女がお気に入りのアイス屋台・アロハ家のアイスがギュウギュウに詰まっている。


「え~っと…」

 耳と肩で携帯をはさんで、ごそごそと漁る。

ひんやりとした空気が指先を滑り、背中を抜けるようだ。


『アイス、溶かしたら承知しないからね!』

 彼女の脅しにも負けず、バニラ味と書かれたカップを数えていたら、その中の1つが転がってしまった。


 拾おうと身を屈めた。


「どうぞ?」


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