理想恋愛屋
3.涙の告白
女心とナントカ、なんていうけれど。
少しは付き合わされる身にもなってほしいもんだ。
まだ髪から漂うシャンプーの香りが、夏の夜風に吹かれてキラキラしはじめた空に消えた。
いつもは家から車で15分程度の事務所も、電車で揺られれば2倍くらいの時間がかかった。
実は『恋愛屋』への依頼は、これから始まる。
あれから、彼女も帰ったし早めに業務を終え、夜の商売をする秋さんも支度があるといって事務所を出た。
待ち合わせは、夜9時にもう一度この事務所で。
秋さんの働くお店もこの近くらしく、記憶なくすくらい酔っ払ったオレの行動範囲の狭さを指し示すようだ。
あまり詳しいことは教えてくれなかったけれど、どうやらお膳立てをすればいいだけらしい。
だったらオレじゃなくても…、っていう気持ちはバレてしまっていた。
「葵ちゃんがいいんだよ」
そういって笑う秋さんが、少し寂しそうに見えた。
とりあえず酒臭い自分をリセットするために、帰宅してシャワーを浴びてきたところだ。
約束の10分前に、予定通り事務所前に着いた。
腕時計に視線を落としたとき、腕がむんずと掴まれる。
「お待たせ!」
嬉しそうに声をかけてきたのは秋さんだ。
先ほどまでは白いドレスだったけど、今はベビーピンクのワンピースだ。
半そでから出たオレの腕に触れる生地の感触がつるつるとしていて、やけにドキドキしてしまった。
「いこっか」
腕に絡んできた秋さんに引っ張られるようにオレたちは歩き出した。
少しは付き合わされる身にもなってほしいもんだ。
まだ髪から漂うシャンプーの香りが、夏の夜風に吹かれてキラキラしはじめた空に消えた。
いつもは家から車で15分程度の事務所も、電車で揺られれば2倍くらいの時間がかかった。
実は『恋愛屋』への依頼は、これから始まる。
あれから、彼女も帰ったし早めに業務を終え、夜の商売をする秋さんも支度があるといって事務所を出た。
待ち合わせは、夜9時にもう一度この事務所で。
秋さんの働くお店もこの近くらしく、記憶なくすくらい酔っ払ったオレの行動範囲の狭さを指し示すようだ。
あまり詳しいことは教えてくれなかったけれど、どうやらお膳立てをすればいいだけらしい。
だったらオレじゃなくても…、っていう気持ちはバレてしまっていた。
「葵ちゃんがいいんだよ」
そういって笑う秋さんが、少し寂しそうに見えた。
とりあえず酒臭い自分をリセットするために、帰宅してシャワーを浴びてきたところだ。
約束の10分前に、予定通り事務所前に着いた。
腕時計に視線を落としたとき、腕がむんずと掴まれる。
「お待たせ!」
嬉しそうに声をかけてきたのは秋さんだ。
先ほどまでは白いドレスだったけど、今はベビーピンクのワンピースだ。
半そでから出たオレの腕に触れる生地の感触がつるつるとしていて、やけにドキドキしてしまった。
「いこっか」
腕に絡んできた秋さんに引っ張られるようにオレたちは歩き出した。