理想恋愛屋
そもそも、こんなおかしな状況に陥ったのは、秋さんのせいだ。
宿に戻るなり、甲高いをあげながら彼女に抱きついた。
「オトメくんに女がいたのぉ~っ!!」
彼女のまだ湿っている髪からは、ふわりと甘酸っぱい香り。
風に乗ってやってきたそれを振り払うのに、オレはなぜだか必死だった。
「どういうこと?」
きょとんと見つめてきた彼女に、秋さんは大袈裟に見た事を話す。
やっぱり連れて行くんじゃなかったと後悔したときには、もう遅かったのだ。
そんな時、タイミングよく現れたオトメくん。
一同の視線を集めて、さすがにたじろいでいた。
「オトメくんってば、水臭いじゃなぁ~い!」
秋さんに抱き疲れそうになって、思わず後ずさりをしたオトメくん。
迫られて冷や汗をかいているのは、未だに秋さんという存在に慣れていないかららしい。
一人テンションがおかしい秋さんは置いといて、オレはこっそり耳打ちをした。
「すいません。さっきの女の子と会ってるのを観ちゃったんだ……」
すると、ボボボと頬を染めたオトメくんは、照れたように頭をかきはじめる。
「…ややや、やだなぁ、み、みられてたんですか…っ?」
恥ずかしそうに、一度咳払いをすると、ぽつりぽつりと話し始めた。
「彼女は瑠璃さんっていって……、近くにある別荘に療養できてるそうなんです」
確かに尋常じゃないほど白いと感じた。
色素の薄い髪も、薬などの副作用なのかもしれない。
そう思うと、なんだか胸がチクンと痛んだ。
宿に戻るなり、甲高いをあげながら彼女に抱きついた。
「オトメくんに女がいたのぉ~っ!!」
彼女のまだ湿っている髪からは、ふわりと甘酸っぱい香り。
風に乗ってやってきたそれを振り払うのに、オレはなぜだか必死だった。
「どういうこと?」
きょとんと見つめてきた彼女に、秋さんは大袈裟に見た事を話す。
やっぱり連れて行くんじゃなかったと後悔したときには、もう遅かったのだ。
そんな時、タイミングよく現れたオトメくん。
一同の視線を集めて、さすがにたじろいでいた。
「オトメくんってば、水臭いじゃなぁ~い!」
秋さんに抱き疲れそうになって、思わず後ずさりをしたオトメくん。
迫られて冷や汗をかいているのは、未だに秋さんという存在に慣れていないかららしい。
一人テンションがおかしい秋さんは置いといて、オレはこっそり耳打ちをした。
「すいません。さっきの女の子と会ってるのを観ちゃったんだ……」
すると、ボボボと頬を染めたオトメくんは、照れたように頭をかきはじめる。
「…ややや、やだなぁ、み、みられてたんですか…っ?」
恥ずかしそうに、一度咳払いをすると、ぽつりぽつりと話し始めた。
「彼女は瑠璃さんっていって……、近くにある別荘に療養できてるそうなんです」
確かに尋常じゃないほど白いと感じた。
色素の薄い髪も、薬などの副作用なのかもしれない。
そう思うと、なんだか胸がチクンと痛んだ。