理想恋愛屋
すでに辺りにはボールの跳ねる乾いた音が廊下まで響いていた。
つるされた簡単な表示もあって、卓球場まで目の前の角を曲がるだけ、というときだった。
「こちらでしたのね、龍さま」
おっとりとした口調なのに、不意をつかれたせいでビクンと肩が震えた。
目の前にいる三人も聞きなれないせいか、不思議そうにゆっくり振り返りオレの背中の向こうをみて驚いていた。
「る、るる瑠璃さんっ」
相変わらず『女性』に反応するオトメくんは、呂律が回っていない。
バクバクと心臓がうるさい中、つられるように振り替える。
そこには最後に見たときと同じ格好で、か細く長い髪を揺らして裸足のまま歩いてくるウワサの少女。
オレを通り越すとオトメくんを目の前に、彼だけに笑う。
「どっ、どうして、貴女がここに…っ?」
オトメくんの緊張バロメータは一気に振り切ってしまったようだ。
見ているこっちまで、手に汗が滲んでくる。
そして困惑と驚きで声が震えるオトメくんに、くすくすと笑い出す少女・瑠璃。
「もちろん、龍さまにお会いするためですわ」
小首をかしげ、ふわりと長い髪が涼しげに揺れた。
あんな可愛い子に、そんなことをいわれたら嬉しくないはずがない。
あからさまにニヤつくオトメくんの横顔は、本当に憎たらしい。
さすがのオレも殴ってやろうかと怒りさえ覚えたくらいだ。
勝手に自分たちだけの世界に入った二人を現実にもどしたのは、
「あなたが瑠璃さん?」
彼女だった。
つるされた簡単な表示もあって、卓球場まで目の前の角を曲がるだけ、というときだった。
「こちらでしたのね、龍さま」
おっとりとした口調なのに、不意をつかれたせいでビクンと肩が震えた。
目の前にいる三人も聞きなれないせいか、不思議そうにゆっくり振り返りオレの背中の向こうをみて驚いていた。
「る、るる瑠璃さんっ」
相変わらず『女性』に反応するオトメくんは、呂律が回っていない。
バクバクと心臓がうるさい中、つられるように振り替える。
そこには最後に見たときと同じ格好で、か細く長い髪を揺らして裸足のまま歩いてくるウワサの少女。
オレを通り越すとオトメくんを目の前に、彼だけに笑う。
「どっ、どうして、貴女がここに…っ?」
オトメくんの緊張バロメータは一気に振り切ってしまったようだ。
見ているこっちまで、手に汗が滲んでくる。
そして困惑と驚きで声が震えるオトメくんに、くすくすと笑い出す少女・瑠璃。
「もちろん、龍さまにお会いするためですわ」
小首をかしげ、ふわりと長い髪が涼しげに揺れた。
あんな可愛い子に、そんなことをいわれたら嬉しくないはずがない。
あからさまにニヤつくオトメくんの横顔は、本当に憎たらしい。
さすがのオレも殴ってやろうかと怒りさえ覚えたくらいだ。
勝手に自分たちだけの世界に入った二人を現実にもどしたのは、
「あなたが瑠璃さん?」
彼女だった。