理想恋愛屋

　物語は進み、ジュリオの元へ訪れた友人からは衝撃の事実が伝えられる。

それは、イジメにより耐えられなくなり引っ越すということ。

友人──もといオトメくんは彼女と直近、それも触れられるという芝居があるためか、女性恐怖症が顔を出し、彼を挙動不審へと変える。

しかし、それがやけにリアルに伝わり迫真の演技にもみてとれる。

オレでさえ、記者なくて役者になれるんじゃないか、とさえ思うほどだった。


「ロミエットのお姉さんが……？」

　いじめていたのはロミエットの姉だと知りショックを受けるものの、黙って耐えた友人が望んだのは、ジュリオとこれからもトモダチでいたいということ。

もちろんジュリオも深く頷き別れるも、同時に強い決意をしていた。


　ジュリオはロミエットの姉に会いに行き、謝罪を求めたのだ。

心優しいロミエットの姉なのだから、きっとわかってくれる。そう思っていたのだが……


「私は悪くないわ」

　そういって認めなかった。

そして、とうとうロミエットの母にも直談判したのだが、あろうことか姉を味方したのだ。


「娘がそんなことをするはずがないわ。本当はあなたがしたんでしょう？」

　ジュリオに濡れ衣を着せた。

あまりの出来事に、悔しさと怒りと深い悲しみにとらわれたジュリオはそれからしばらく塞ぎこんでしまう。


　ツン、とはねのける秋さんの演技は、たまものだった。さすが自身を“女優”と称するだけはある。

母役の園長も普段温和な人柄から意外な一面を見た気がして、それはそれで子供たちもピリリと緊張が奔ったようにも見えた。



　そして、あまりにジュリオが顔を出さなくなったこと不審に思ったロミエットは姉に相談するが、そこで事実を知る。

悲しみと罪悪感でいっぱいのロミエットはジュリオの元へ謝罪へと向かった。

そんなジュリオにはロミエットの屋敷から「いなくなった」と連絡が入り、慌ててジュリオも探しに出た。

が、意外にもすぐに見つかるが、ロミエットはただひたすら泣きながら謝っていた。



　まあ、オレには泣くなんて演技は無理だから、鼻をグスグス鳴らし肩をわざとらしく震わすだけなのだけど。

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