理想恋愛屋
 そのイケメンくんは、両腕を確認するようにさする園長に会釈しオレの前を通り過ぎ、彼女の前に歩み寄る。

ふっと緩めた笑顔は、オレですらドキドキしそう。


 彼は右手を腹に当て左手を後ろに回し、ゆっくり腰を折った。

おとぎ話に出てくる王子様か執事くらいしかしないであろうその仕草は、彼の雰囲気に合っていなくもない。



「お迎えに上がりました……お姫様?」



 どこか胡散臭いエセ王子を見て、笑顔が消えた彼女は一言。



「何しに来たのよ、虎太郎」







 彼女を知っているようで知らないオレは、どうすることもできなくて。



ただ、そのピリピリとした空気を肌で感じることしかできないでいた───







【to be continued…】




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