理想恋愛屋
 それは彼に対してなのか、オレに対してなのか。

どちらにしても、彼女の闘争本能に火をつけたのは間違いないわけで。


 警報みたいな電気ポットのお湯が沸いたことそ知らせるランプが点滅する。




「あたしからの依頼よ」


 それはそれは、随分とあつかましい口調なのだけど。



「……あたしの“恋人”になって」


 可愛らしい唇が、またもや非日常を形どる。



「遥姫をお願いします」

 昨日そういって改めて頭を下げた匠さんのためにも、オレは少しだけ間を置いて答えた。




「仰せのままに。……遥姫」


 初めて彼女の名前を、口にした。


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