理想恋愛屋
その翌日も、寒い屋外にもかかわらず、彼女の好きなアイス屋台が準備を始めていて、ご苦労様とねぎらいながら、パソコンを起動させて頭を悩ませる。
冬本番も近づき、顧客に出会いを提供すべくイベントを用意しなくてはならない。
例年はもっと前に企画を考えているのだけど、どうにも慌しい日々が続き悔しいことに仕事がおろそかになりはじめている。
気を引き締めなくては!
マフラーを外しながらぎゅっと目をつぶり、かじかむ自分の手で両頬をパチンと叩いた。
と、同時に。
「マズイマズイマズイマズイ!!」
バァアアン、と扉がいきなり開け放たれ思わず肩が震えた。
相変わらずお騒がせな彼女が、珍しく朝早くから青い顔をして事務所に訪れたのだ。
「……ど、どうしたんだよ…」
部屋の中央で立ち尽くす彼女に声をかけると、キッと睨み上げるや否や唇をかみ締めていた。
「本格的にマズイわ」
「な、なにがだよ……」
恐ろしいまでの焦りが漂う彼女の様子に、オレまで不安になる。
「来週の金曜、予定入れてないわよね!?」
責め立てるような口調に、チラリとデスクにある卓上カレンダーを盗み見る。
「もちろん。だってその日は……」
「そうなのよねぇ、招待されてるのよね……お兄ちゃんたちの婚約パーティ…」
どよん、と負のオーラを背負う姿は稀に見ない。
かじかむ手足を引きずりながら彼女がストンと腰掛けたソファまで伺う。
「……やるっきゃないのかしら…?」
などとブツブツ呟くもんんだから。
冬本番も近づき、顧客に出会いを提供すべくイベントを用意しなくてはならない。
例年はもっと前に企画を考えているのだけど、どうにも慌しい日々が続き悔しいことに仕事がおろそかになりはじめている。
気を引き締めなくては!
マフラーを外しながらぎゅっと目をつぶり、かじかむ自分の手で両頬をパチンと叩いた。
と、同時に。
「マズイマズイマズイマズイ!!」
バァアアン、と扉がいきなり開け放たれ思わず肩が震えた。
相変わらずお騒がせな彼女が、珍しく朝早くから青い顔をして事務所に訪れたのだ。
「……ど、どうしたんだよ…」
部屋の中央で立ち尽くす彼女に声をかけると、キッと睨み上げるや否や唇をかみ締めていた。
「本格的にマズイわ」
「な、なにがだよ……」
恐ろしいまでの焦りが漂う彼女の様子に、オレまで不安になる。
「来週の金曜、予定入れてないわよね!?」
責め立てるような口調に、チラリとデスクにある卓上カレンダーを盗み見る。
「もちろん。だってその日は……」
「そうなのよねぇ、招待されてるのよね……お兄ちゃんたちの婚約パーティ…」
どよん、と負のオーラを背負う姿は稀に見ない。
かじかむ手足を引きずりながら彼女がストンと腰掛けたソファまで伺う。
「……やるっきゃないのかしら…?」
などとブツブツ呟くもんんだから。