理想恋愛屋
「おい、どういうつもりだよ!」

 ペロペロとなめる様にアイスを口に運ぶ彼女に向き直る。

だけど反省どころか開き直っているようだ。


「うっさいわねー!周りになんとかしてもらおうってのが鼻につくのよ!」

「だからってなぁ……!」

 彼女の言い分もわからなくはないが、これもオレの仕事なんだ。

仕事って割り切れているのか、自分でも謎だけど。


 オレも考えてしまって、言葉が続かない。


「あたしでさえ、お兄ちゃん忙しくって会えないのにっ」

 ドサっとソファに腰掛けると、彼女は寂しそうに呟く。

彼女の異様な苛立ちはそのせいだろうか。


「……だから、ココに寄越したんだろう?」

 メールにはっきりとはかかれていなかったけど、そういうニュアンスだったんだとオレは理解した。

 なのにもかかわらず、彼女はつり目がちの大きな瞳をさらに開いて、大きなため息をもらした。


「はぁ、わかってないわね~」

 いつの間にかコーンまで食べ終えた彼女は、紙をくしゃっと丸めてデスク横のゴミ箱に投げ入れる。

綺麗な放物線すら、バカにしているように見えるのはオレだけか?


「ココはちょうどあたしの学校とお兄ちゃんの会社の中間地点なの!」


 ……え…?


「それともナニ?あたしが寂しがってるとでも?」

 はん、と鼻で一息笑い、

「ばっかにしないでよね!」

 この気だけは強すぎる女、どうにかならないものか。


「あのなぁ、オレはお前の兄貴に『ヨロシク』って言われて……」

「そうよ?アンタの大事な『お客の妹』だもの!」

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