理想恋愛屋
そんなオレたちに、パタパタと足音を響かせて近づいてくる一人の女性。
「はあ、はあ。すみません……、私が目を離しちゃったから」
肩で息をするその人は、まだオレたちに気づいていないようだった。
「本当にすみ……」
ようやく顔をあげてくると、たしかにパチッと目が合った。
きっと同じこと思っていたに違いない。
「萌!?」
どうして、って聞く前に彼女が躍り出た。
「どーゆーことですか、萌さん!」
「え、あの、だから……」
おどおどとする萌は、彼女に圧倒されっぱなしだ。
「お兄ちゃんがだめなら他の男って……!おっさんだし、子持ちって!」
彼女のストレートの言葉に、少年の父親も少し……いや、だいぶショックを受けているようで、どよーんと彼の周りの空気だけが重くなっていた。
さすがのオレもフォローのしようがなかった。萌がまさかっていう衝撃のほうが強い。
好きだった女なんて、男にとっては結構美化されるもんなんだ。
思い出が、強ければ強いほど。
「待ってください」
まくし立てる彼女を制するように、さきほどの少年の父親が彼女の肩を掴んだ。
「うっさいわね……っ」
「萌さんは本当に違うんです。シッターさんとして来てもらってるんですよ」
し、シッター……?
そういや萌は福祉関係の仕事についてるし、それに仕事があるとかいってたっけ。
「彼女がたまたまここのチケットもっていてね。今日はお言葉に甘えたんだ」
兄が渡してきたこの遊園地のチケットは、1枚で5人まで入れるファミリーパスだった。
だから忘れていった1枚でオレと彼女は入場できた。
財布に優しくってほっと胸をなでおろしたのは秘密だ。
「はあ、はあ。すみません……、私が目を離しちゃったから」
肩で息をするその人は、まだオレたちに気づいていないようだった。
「本当にすみ……」
ようやく顔をあげてくると、たしかにパチッと目が合った。
きっと同じこと思っていたに違いない。
「萌!?」
どうして、って聞く前に彼女が躍り出た。
「どーゆーことですか、萌さん!」
「え、あの、だから……」
おどおどとする萌は、彼女に圧倒されっぱなしだ。
「お兄ちゃんがだめなら他の男って……!おっさんだし、子持ちって!」
彼女のストレートの言葉に、少年の父親も少し……いや、だいぶショックを受けているようで、どよーんと彼の周りの空気だけが重くなっていた。
さすがのオレもフォローのしようがなかった。萌がまさかっていう衝撃のほうが強い。
好きだった女なんて、男にとっては結構美化されるもんなんだ。
思い出が、強ければ強いほど。
「待ってください」
まくし立てる彼女を制するように、さきほどの少年の父親が彼女の肩を掴んだ。
「うっさいわね……っ」
「萌さんは本当に違うんです。シッターさんとして来てもらってるんですよ」
し、シッター……?
そういや萌は福祉関係の仕事についてるし、それに仕事があるとかいってたっけ。
「彼女がたまたまここのチケットもっていてね。今日はお言葉に甘えたんだ」
兄が渡してきたこの遊園地のチケットは、1枚で5人まで入れるファミリーパスだった。
だから忘れていった1枚でオレと彼女は入場できた。
財布に優しくってほっと胸をなでおろしたのは秘密だ。