理想恋愛屋
4.返品お断り!
はあぁぁぁっ……
深い深いため息が、小さな事務所内に広がる。
「だ、だからね……っ」
「まったく人騒がせだよ、匠さんも。“大切な人”ってなぁ」
遊園地事件。
イチノセの幹部でもある兄が、萌を記念式典に紛らわしい方法で招待したのがそもそもの始まりだった。
どうやら兄は、萌の中の『大切な人』とやらに挨拶がしたかったらしい。
それが恩師なのか上司なのか、はたまた家族なのか、ひっくるめてその言葉を使ったらしい。
「ごめんね、葵……」
申し訳なさそうな表情にだめなんていえるわけない。
一週間前の起きたことが、ものすごく昔のように感じてしまうのはオレだけか。
「まあ、よかったじゃん。勘違いで」
オレの言葉に萌は嬉しそうにコクンと頷いた。
兄のほうはというと、あの遊園地のセクシー幹部·植松さんとは本当になにもなかったらしい。
どうやら兄を気に入った植松さんサイドが勝手に盛り上がっていた、と兄は言っていた。
彼なりにも色々とあるのだろう。とにもかくにも、一件落着ってことだ。
相変わらず部屋の隅っこでブーンと重々しい音をたてる冷蔵庫。
折角買った──いや買わされたので、遠慮なく使っている。
冷蔵庫のポケットから冷えたウーロン茶のペットボトル出して、二つグラスに注ぐとローテーブルに静かに置いた。
小さな唇を一口グラスにつけた萌に、チラリと優しい瞳で見つめられる。
「遥姫ちゃん、来てる?」
萌の言葉にドッと冷や汗が噴出す。
「……なんで、アイツが」
それにいつの間にか遥姫チャンなんて呼んでるよ。
まあ、婚約者の妹だしゆくゆくは義姉妹だもんなぁ、なんて呑気に考えていた。
深い深いため息が、小さな事務所内に広がる。
「だ、だからね……っ」
「まったく人騒がせだよ、匠さんも。“大切な人”ってなぁ」
遊園地事件。
イチノセの幹部でもある兄が、萌を記念式典に紛らわしい方法で招待したのがそもそもの始まりだった。
どうやら兄は、萌の中の『大切な人』とやらに挨拶がしたかったらしい。
それが恩師なのか上司なのか、はたまた家族なのか、ひっくるめてその言葉を使ったらしい。
「ごめんね、葵……」
申し訳なさそうな表情にだめなんていえるわけない。
一週間前の起きたことが、ものすごく昔のように感じてしまうのはオレだけか。
「まあ、よかったじゃん。勘違いで」
オレの言葉に萌は嬉しそうにコクンと頷いた。
兄のほうはというと、あの遊園地のセクシー幹部·植松さんとは本当になにもなかったらしい。
どうやら兄を気に入った植松さんサイドが勝手に盛り上がっていた、と兄は言っていた。
彼なりにも色々とあるのだろう。とにもかくにも、一件落着ってことだ。
相変わらず部屋の隅っこでブーンと重々しい音をたてる冷蔵庫。
折角買った──いや買わされたので、遠慮なく使っている。
冷蔵庫のポケットから冷えたウーロン茶のペットボトル出して、二つグラスに注ぐとローテーブルに静かに置いた。
小さな唇を一口グラスにつけた萌に、チラリと優しい瞳で見つめられる。
「遥姫ちゃん、来てる?」
萌の言葉にドッと冷や汗が噴出す。
「……なんで、アイツが」
それにいつの間にか遥姫チャンなんて呼んでるよ。
まあ、婚約者の妹だしゆくゆくは義姉妹だもんなぁ、なんて呑気に考えていた。