理想恋愛屋
「そーじゃなくてっ!その……なんつーか…」

 うまく言葉が続かなくて、後頭部をガシガシ掻く。


なんでオレがこんなに必死になってんだか。


 そんな時にどこからか、ふう、とため息が零れた。


「いいわ、やってあげる」

 腰に両手を当てて、どこか挑戦的なその瞳。


「は……はぁぁああ!?」

「ほんとですか!?」

 オレの叫びとほとんど同時に、彼は歓喜の声を上げる。

思わず、ぐいっと彼女の腕を掴んでいた。


「なに言ってんだ、お前はっ!下着だぞ!?」

 だけどそんなオレの腕を迷惑そうに振り払い、彼女はオレを睨み上げる。

すでに慣れているはずなのに、どこか違和感を感じていた。


「うっさいわねっ!あたしがイイっていってんだから問題ないじゃないっ」

「だからわかってないっていってんだろう!?」

 ココまできたら今更ヒけない。

どこかの洋服のモデルなら、大いに薦めたかもしれない。

なにせ見た目は──ものすごく悔しいが、カワイイと思うからだ。


だけど、こればっかりは『下着』だ!


「葵になにがわかるって言うのよ!
……それとも、ナニ?あたしにモデルをさせたくない理由でもあるわけ?」


 ズイっとオレの心を見透かそうとする強い視線に、思わず口をつむいでしまった。


 本当だ、なんでオレはこんなにムキになってるんだ。


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