理想恋愛屋
ようやく辿りついた控え室では、ステージの様子を映し出すモニターが1台設置されていた。
オレはただ、そのモニターを見てるしかできずにいた。
……なぜかって?
圧倒的に女性の比率が多くて、正直、居心地は悪くてしかたないからだ。
何せ回りには下着姿や薄い生地の服だらけなので、露出度がとにかく高い。
本来ならばオトコってだけで追いだれるような場所のはずなのに、むしろ見せにいく人たちが集まるわけで……。
どうしても目のやり場に困る。
そんな時、珍しく困惑してるオレを救うかのように、更衣室を兼ねているカーテンの向こうから聞き覚えのある声が響いてくる。
「葵ー、鏡の前にあるメイクボックスもってきて」
今回のオオトリを飾る、我らが姫だ。
言われた通りもっていく──のだが。
こんな健全なオトコのオレはカーテンを開けるのすらも躊躇する。
─―これみよがしに存分に楽しめ?
いや、それも手だけどよ……。
─―ここはあくまでも『紳士』を貫くべき?
となると、このカーテンはどうやって開けばいい?
そんな悪魔と天使がオレの中で、歴史的な戦争を繰り広げようとしていると、
「早くもって来なさいよ!」
カシャン、と乾いた音を立てて白い清潔感のあるカーテンが勢いよく開いた。
でも幸運だと思ったソレは、更にオレを動揺へと導く。
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オレはただ、そのモニターを見てるしかできずにいた。
……なぜかって?
圧倒的に女性の比率が多くて、正直、居心地は悪くてしかたないからだ。
何せ回りには下着姿や薄い生地の服だらけなので、露出度がとにかく高い。
本来ならばオトコってだけで追いだれるような場所のはずなのに、むしろ見せにいく人たちが集まるわけで……。
どうしても目のやり場に困る。
そんな時、珍しく困惑してるオレを救うかのように、更衣室を兼ねているカーテンの向こうから聞き覚えのある声が響いてくる。
「葵ー、鏡の前にあるメイクボックスもってきて」
今回のオオトリを飾る、我らが姫だ。
言われた通りもっていく──のだが。
こんな健全なオトコのオレはカーテンを開けるのすらも躊躇する。
─―これみよがしに存分に楽しめ?
いや、それも手だけどよ……。
─―ここはあくまでも『紳士』を貫くべき?
となると、このカーテンはどうやって開けばいい?
そんな悪魔と天使がオレの中で、歴史的な戦争を繰り広げようとしていると、
「早くもって来なさいよ!」
カシャン、と乾いた音を立てて白い清潔感のあるカーテンが勢いよく開いた。
でも幸運だと思ったソレは、更にオレを動揺へと導く。
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