理想恋愛屋
「な、なんだよ、その格好……っ!」

「は?」

 いぶかしそうにオレを見つめてくる。

 オレの目の前には、ピンクのレースがふわふわと羽のようにあしらわれたブラに、デニムのミニスカート。

腰辺りからピンクの薄い布がチラリと覗かせているのは、もしかしなくともパンティ。


 そう、下着姿の彼女がいるんだ。


「下着のショーなんだから、当たり前じゃない」


 堂々とフィッティングを重ねる彼女は、周りのプロモデルたちに負けなんかとってない。

色目じゃなければ、一番綺麗に見える。


 ……って色目ってなんだよ!?


 控え室の扉が開く音で、オレは咄嗟にメイクボックスを彼女に押し付けて背を向けた。


 来いといわれたからきたわけで、男性スタッフがいないワケではない。

が、不思議なことに、どうしてもイケナイことをした気分になる。


「遥姫ちゃんいるかしら?」

 現れたのはショートボブの黒髪をさらりと流した、それこそモデルのような女性。

 多少肩幅は広いものの、引き締まった体に長い手足。もう少し若くてメイク次第ではキレイな少年にすらなりそうだった。

神秘的にすら見える黒のタイトな短い丈のワンピースをすらりと着こなし、いかにもビジネスウーマンという印象を受ける。


「はい、あたしですけど」

 カーテンからひょっこり顔だけだした彼女が、今入ってきた女性をみた途端に目を見開いた。

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