理想恋愛屋
「せ、先生っ」
慌ててぴょこんと頭を下げている彼女。
そう、あの彼女が。
周りのスタッフの雰囲気と彼女の発言からすると……おそらく、今回の下着のデザイナー。
もっとふわふわしたかわいらしい人を想像してた。
だが、言われてみればこの人は『先生』といわれるほどの威厳を持ち合わせているように感じた。
「最後の作品なんだけど、白だけの予定だったじゃない?黒もお願いしたいんだけど」
髪を耳にかけると、赤いルージュが照らされて光った。その姿は、もっぱら魔女だ。
「……はあ、構いませんけど?」
歯切れ悪く彼女が先生を見上げる。
「もう一人の子が昨日入院しちゃったのよ」
怖いと感じつつ、彼女への笑顔で気さくさを覚える。
ほっと胸を撫で下ろすと、すれ違い様にオレをチラリと横目で流してきた。
「じゃあ、よろしくね?」
くすりと笑いを残すと、決して効きすぎない香水がオレの鼻を刺激していった。
「……ふーん」
オレが後姿を見送っていると、背後から痛い視線を感じる。
そっと振り返れば、案の定、ジト目で見つめてくる彼女。
「葵って、ああいう人がタイプなんだぁ」
煽るように、でも無関心そうな声音で彼女はカーテンを閉めた。
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慌ててぴょこんと頭を下げている彼女。
そう、あの彼女が。
周りのスタッフの雰囲気と彼女の発言からすると……おそらく、今回の下着のデザイナー。
もっとふわふわしたかわいらしい人を想像してた。
だが、言われてみればこの人は『先生』といわれるほどの威厳を持ち合わせているように感じた。
「最後の作品なんだけど、白だけの予定だったじゃない?黒もお願いしたいんだけど」
髪を耳にかけると、赤いルージュが照らされて光った。その姿は、もっぱら魔女だ。
「……はあ、構いませんけど?」
歯切れ悪く彼女が先生を見上げる。
「もう一人の子が昨日入院しちゃったのよ」
怖いと感じつつ、彼女への笑顔で気さくさを覚える。
ほっと胸を撫で下ろすと、すれ違い様にオレをチラリと横目で流してきた。
「じゃあ、よろしくね?」
くすりと笑いを残すと、決して効きすぎない香水がオレの鼻を刺激していった。
「……ふーん」
オレが後姿を見送っていると、背後から痛い視線を感じる。
そっと振り返れば、案の定、ジト目で見つめてくる彼女。
「葵って、ああいう人がタイプなんだぁ」
煽るように、でも無関心そうな声音で彼女はカーテンを閉めた。
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