理想恋愛屋
「ストールかなんか羽織らせれば傷は隠れるだろ」
「ちょっと待ちなさい……!」
彼女をショーに出すつもりなのが、デザイナーにも伝わったようだ。
だけど、オレも退くわけには行かない。
…オレは……!!
「あなたも成功させたいんでしょ?」
「当たり前じゃない」
オレの挑発にも似た質問に、デザイナーはキッと睨んできた。
「こっちも生半可な覚悟で預かってるんじゃないんだよ」
「は?」
みんなが分かるワケない。
本当は兄がスキでスキでたまらないコト。
想いをこぼさないように強がっているコト。
誰よりも、兄が幸せであってほしいという、願い。
そんな中で選んだ彼女の意思を、どうにか貫き通してあげたいんだ。
「黒いのは……?」
オレがあたりを見回したときだった。
スッと横から腕が伸びてきた。
「これです、葵さん」
彼が、みたことないくらいまっすぐな瞳で渡してきた。
ゆっくり受け取って、彼に力強く頷いてみせた。
「頼むぜ、実行委員長?」
.
「ちょっと待ちなさい……!」
彼女をショーに出すつもりなのが、デザイナーにも伝わったようだ。
だけど、オレも退くわけには行かない。
…オレは……!!
「あなたも成功させたいんでしょ?」
「当たり前じゃない」
オレの挑発にも似た質問に、デザイナーはキッと睨んできた。
「こっちも生半可な覚悟で預かってるんじゃないんだよ」
「は?」
みんなが分かるワケない。
本当は兄がスキでスキでたまらないコト。
想いをこぼさないように強がっているコト。
誰よりも、兄が幸せであってほしいという、願い。
そんな中で選んだ彼女の意思を、どうにか貫き通してあげたいんだ。
「黒いのは……?」
オレがあたりを見回したときだった。
スッと横から腕が伸びてきた。
「これです、葵さん」
彼が、みたことないくらいまっすぐな瞳で渡してきた。
ゆっくり受け取って、彼に力強く頷いてみせた。
「頼むぜ、実行委員長?」
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