私だけの王子様
「でも、笑ったらもっと可愛いと思うんだよなー!!」
もう何年男の人に笑顔を向けていないだろう。
私があなたみたいに綺麗に笑えるわけないのに…
「あ、俺バイト戻んなきゃ。それじゃあね、澪ちゃん」
「あ、あの!!」
「ん?なに?」
「名前…教えてくれますか?」
「櫻木春。春ってよんで!!それじゃあ!!」
そう言って彼は走って店へ戻っていった。
「はる…さん」
なんで私は彼の名前を聞いたのだろう。
男の人なんかどうでもいいはずなのに。
また傷つけられるかもしれないのに。
「やっぱり今日は、運が悪い日だ…」
春さんの笑顔が頭から離れないなんて、今の私はどうかしてる。