似非恋愛 +えせらぶ+
フェーズ6

変化


 翌朝起きると、ベッドの中に斗真がいなかった。目をこすりながら身を起こすと、台所の方から物音が聞こえてくる。
 斗真と一緒にいて、体の関係もなくとても穏やかに夜を過ごせたことが、にわかには信じられなかった。

 とりあえず洗面所に向かって、眠気を覚ますことにする。あくびを噛み殺し、目をこすりながら洗面所に向かう私に気付いた斗真が顔を出した。

「おはよ」
「……ん」
「完全に寝ぼけてやんの」

 斗真が笑って、再び台所に戻っていった。私も洗面所で歯を磨いて顔を洗って、やっとすっきりする。
 私も台所に行き、斗真の手元を覗き込んだ。いい匂いが食欲をそそる。
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