似非恋愛 +えせらぶ+

「最初はショックだったし、ヤケ酒も飲んだわ。でも、結局私は捨てられたのよね」

 ぽつり、と私は心情を吐露する。

「揺れてる。当たり前じゃない、私、真治のことが好きだったんだもの」

 斗真は何も言わずに私の髪の毛をなでた。

「でも彼の元に戻ることはないと思う。もう、終わったの。それに……」

 私は斗真を見た。その蒼い目が探るように私を見ている。

「今の私には斗真がいる」

 気づいて、私の本当の想いに。
 ずるくて、卑怯で、素直になれない私の、愚かな思いに。

 口にした瞬間、再び斗真が唇を重ねてきた。深くなる口づけ――私はそれに応える。斗真の身体が熱を帯びるのが分かった。
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