似非恋愛 +えせらぶ+

「よっ」
「今日も来たの?」
「来たら悪いのかよ」

 我が物顔でリビングに入ってきてソファに座る。場所はもちろん、由宇の隣だ。楽しげに話す2人を、私は直視できない。

「斗真、受験でしょ? 遊びに来ていいの?」
「俺は余裕だから良いの」

 由宇が訊ねると、斗真が余裕ぶる。
 私と同い年の斗真は、大学受験が控えているはずだけど、こうしてうちに来るんだ。そのたびに、私は勉強どころじゃなくなって困る。

 部屋にこもって勉強をしていればいいのかもしれないけど、そうすれば……由宇と2人っきりの斗真を気にして、結局勉強に身が入らないんだ。

 いつから斗真のことを好きだったかだなんて覚えていない。キラキラ輝いている瞳が好きだし、何より自信ありげに話す姿が格好良かった。
 そんな斗真が一番輝くのが、由宇と一緒にいるときだった。斗真はいつも由宇のことを見ている。由宇には彼氏がいるから、叶わぬ恋だというのに。
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