似非恋愛 +えせらぶ+

「へえ、そうなんだ。2人とも同業者だったの? 斗真も、帰国してたんだったら私達にも教えてくれればよかったのに」
「だから今日来たんだよ。香璃と会ってたら、偶然由宇から電話かかってきたからさ」

 何でもないように斗真が言うけど、由宇はふうん、と鼻を鳴らして私達を見ている。
 何も考えていないような由宇の表情だけど、実は何もかもを見透かされていそうで、少し怖かった。

「でも、また会えてよかったわぁ。ご両親はお元気?」

 そんな私の不安をよそに、お母さんがのんびりと言葉をはさんでくる。それに、すこしほっとした。

「はい、お蔭様で向こうで元気にやっています」
「そうなの、それならよかった。ほら、由宇、おちびちゃん達にも紹介してあげないと、さっきから気になって仕方ないって顔をしてるわよ」

 お母さんの言葉に、由宇は自分の子供達を膝の上に乗せた。

「こっちが由紀、4才。嫌になっちゃうくらい旦那に似てて可愛いの。そしてこっちが拓弥、2才。信じられないくらい私にそっくりで笑っちゃう」

 由宇のあけすけな紹介に、私も斗真も苦笑した。
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