似非恋愛 +えせらぶ+

 そんな様子を見ていたお母さんが、爆弾を投下してきた。

「でも、休みの日も一緒にいるなんて、貴方達本当に仲がいいのね。香璃、真治君に誤解されちゃうわよ」

 しまった。

 とっさに斗真を見る。だけど、斗真も困ったように首を小さく横に振った。
 私は、胸の奥の小さな痛みを堪えつつ、母親に事情を説明していなかったことを激しく後悔した。

「あの、ね、お母さん」
「なあに?」
「私……真治と別れたの」

 私の告白に、驚いたように目を見開いたのは由宇だった。

「えっ、なんで? 貴方達もう長いこと一緒に……」
「でも、もう別れたのっ」

 思わず、大きな声が出てしまった。

 由宇はいい。
 好きな人と結婚して、好きな人の子供を産んで……幸せに暮らしているんだから。

 そんな由宇が羨ましくて、妬ましくて、そんなふうに思ってしまう自分が嫌で、苦しくなる。
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