似非恋愛 +えせらぶ+

「あはは、拓弥ったら、やきもちやいたの。そうね、香璃のこと大好きだもんね」
「こいつめーっ」

 斗真が笑いながら拓弥を抱き上げくすぐりだした。

「きゃーっやあっ」
「ほれーっ」

 はしゃぎながら笑っている拓弥と、楽しそうにじゃれている斗真を意外に思いながらも、難しく考えることをやめようと思った。

 私達は付き合っている、そう思っていればいい。
 今だけは。

 斗真がそう言ったんだから、私がそれに逆らう必要もない。

 何も考えずに、私達はそういう関係ということにしておこう。

 そうして、由宇やお母さん、そして夜に帰ってくるお父さんに嘘を重ねればいい。


 楽しそうな拓弥の様子に、羨ましくなったのか、由紀も斗真のところにやってきた。
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