似非恋愛 +えせらぶ+
「ゆきもーっ」
「おっ、仕方ないなー」
軽々と拓弥と由紀を抱え上げ、斗真が2人をくすぐる。2人の笑い声に、いつの間にか私も笑っていた。
* * *
あれからお父さんが帰ってきて、お母さんが私達のことを伝えた瞬間、斗真を捕まえてお酒を飲みだした。リビングを陣取って、2人で話をしている。それを見て、お母さんが笑っていた。
私もせっかくだから、そんなお父さんたちの様子を見ながら、台所でお酒を飲んでいた。
この様子だと、当分放してもらえそうになさそうだ。
空いたお酒の瓶を持って、お母さんが台所に来る。私は空瓶を受け取って、新しいお酒を渡した。
「香璃も斗真君も、泊まっていきなさいよ」
「お父さんが帰してくれなさそうだもんね……うん、そうする」
お母さんの言葉に、私は素直に甘えることにした。
晩御飯を食べた後、お風呂に入った由紀と拓弥は、まだまだ遊びたがっていたが、由宇に連れられて奥の客間に行っていた。
きっと今頃寝かしつけているのだろう。