似非恋愛 +えせらぶ+
と、そんなことを考えていたら、由宇が部屋に入ってきた。
「やっと寝たよ……興奮しちゃって、全然寝てくれないの」
「斗真と遊びたがってたもんね」
私は由宇にお酒を注いだグラスを渡した。
「ありがとう。あー、お父さんもできあがっちゃってるね」
由宇はグラスに口を付けながら笑っている。
こうして、家族がそろっているのは久しぶりだ。心地よくて、いつまでもいたくなってしまう。
「香璃、仕事忙しいの?」
「うん。なかなか、忙しい」
「身体には気をつけなさいよ」
お母さんみたいな由宇の言葉に、私は笑ってしまう。
「何よ」
「いや、由宇、お母さんだなぁって思って」
「そりゃあ、2人も子供がいるんだから」
そうだ。久しぶりに会った由宇は、すっかり母親になっていた。