似非恋愛 +えせらぶ+
いろいろ、変わらないものだと思っていたけれど、やっぱり変わらないものなんてなくて、由宇も私達と同じで大人になっていた。
「でも、変な感じ。また、こうやって斗真がうちにいてさ、いつの間にか大人になってて、お父さんのお酒飲んでるなんて」
「うん、本当に変な感じ」
私はぼんやりと斗真を見つめる。お父さんにお酒を飲まされて、たじたじになっている斗真が面白い。
「香璃」
「ん?」
「大丈夫なの?」
私は由宇の方を見た。由宇は、何を考えているかわからない無表情で、私を見ていた。
「何が?」
「無理してない?」
核心を突くような由宇の言葉に、私は口をつぐむ。何を言ったとしても、ごまかせない気がした。
「言いたくないならいいんだ。でも、辛くなったらさ、私はいつでも聞くからね」
由宇の言葉に、私は頷いた。
「うん、ありがとう」
どこまで、由宇はわかっているのだろうか。