似非恋愛 +えせらぶ+
私と斗真が付き合っていないこと。
付き合っているふりをして、慰め合いの偽りの恋愛関係にあること。
慰め合いで、身体の関係を持っていること。
何もかも、お見通しなのだろうか。
「私は、香璃の味方よ」
「……うん」
でも、そう、由宇はいつも私の味方でいてくれる。
昔から、斗真に好かれている由宇のことをうらやましがったりしていたけど、それでも私は由宇のことが好きで、由宇もいつも私の傍にいてくれていた。
それは、今までも変わらなくて、これからも変わらない。
そのことを思い出せただけでも、家に帰ってきてよかったと思えた。
「じゃ、私はそろそろ寝るね。子供達が心配だし」
「うん、おやすみ」
由宇はグラスを流しに片づけて、奥の客間に戻っていった。
「香璃」
「ん?」
お母さんに話しかけられ、私は振り返った。
「お布団、貴女の部屋にしいておいたから。斗真君と一緒でいいわよね?」
「は?」
とんでもない言葉に、私は唖然とする。