似非恋愛 +えせらぶ+
「だって、客間は由宇たちが使っているし、他に使える部屋がないのよ。それに貴女達、付き合っているんだから別にいいでしょう?」
まさか、実家に帰ってきて、斗真と同じ部屋に寝ることになるなんて想像していなくて、私は真っ赤になる。
「やあねえ、今更恥ずかしがることなんてないじゃない」
笑いながらお母さんはリビングに行って、斗真に絡んでいるお父さんを引きはがした。
「はーい、お父さん、もう寝ましょうねー」
「おーう」
その隙に、斗真が私のところまで逃げてくる。
「やっと、解放された……」
顔が真っ赤で、相当飲まされたようだ。私は笑ってお水を渡した。
「はい」
「さんきゅ……」
一気に水を飲んで、斗真は一息ついた。
「今晩、うちに泊まっていけって」
「……まあ、そうだよな」
どう考えても、今からじゃあ終電がない。