似非恋愛 +えせらぶ+

「あと……部屋……」
「ん?」

 私は困ったように続ける。

「斗真と私、同じ部屋だって……」

 案の定、斗真は目を剥いた。そして横目でお父さんとお母さんを見て、苦笑した。

「いやあ、おじさんとおばさんがオープンなのは知ってるけど……いやはや……」
「ごめんね……じゃあ、もう行こうか」
「ああ」

 斗真が頷く。酔っぱらってぐでんぐでんになっているお父さんはさておき、私はお母さんに声をかけた。

「お母さん、私達ももう寝るね」
「はーい、おやすみなさい」
「おやすみなさい」

 私達は2階に上がった。そして、私の部屋に入る。
 私は大学から一人暮らしをしていたので、荷物は少ない。けれど、お母さんはいつでも使えるように部屋をきれいに掃除してくれていた。

 ベッドと床にそれぞれ布団が敷いてあり、寝間着も用意してある。

「あー、飲みすぎた……」

 斗真は倒れ込むように床の布団に倒れ込んだ。
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