似非恋愛 +えせらぶ+
「お父さんが、ごめんね」
「いや、でも楽しかったよ」
斗真が横目で私を見上げる。その様子が色っぽい。
「着替えるから、あっち向いてて」
「はいはい」
私は斗真に背を向けて、寝間着に着替えた。斗真も着替えているようだ。着替え終わってベッドに腰掛けると、斗真も隣に座った。
「あー、でも、楽しかった」
「うん、楽しかったね」
由紀と拓弥はすっかり斗真に懐いて、くっついて離れなかったし、意外に斗真も面倒見が良くて、子供の扱いに慣れているようだった。
「でも、意外だった」
「うん?」
「斗真、子供苦手なのかと思ってた」
私の言葉に、斗真は首を横に振る。
「いや、子供は好きだぞ」
「そうだったんだね、知らなかった」
斗真の腕が、私の腰に回される。お酒の匂いが、鼻をくすぐる。相当酔っているようだ。