似非恋愛 +えせらぶ+

「斗真、もう、寝たほうが……」
「香璃」

 甘えるように囁かれ、私はびくりと身体を震わせる。
 いくら甘い雰囲気になろうと、さすがに実家でどうこうする気はなかった。

「……斗真、酔ってるね」
「ああ、酔ってる……」

 斗真が私を抱きしめて、甘えるようにすり寄ってくる。
 その様子が、大きな子供みたいで、笑ってしまった。

「香璃、笑ってる……」

 拗ねた子供みたいな言葉に、ますます斗真が可愛くなってしまって、笑いが止まらなくなってしまった。

「笑ってんじゃねぇよ……」

 ふてくされたように言う斗真の髪の毛を、そっと撫でた。羨ましいくらいふわふわだ。

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