似非恋愛 +えせらぶ+
また昔みたいに家族で一緒に笑って、斗真もいて、とても幸せな時間を過ごせた。
変わってしまったものも多かったけれど、それでも変わらない何かがあるのではないかと少しだけ希望が持てた気がした。
それもこれも、斗真のお蔭だったように思う。
斗真がいてくれたから。
「……ねえ、斗真」
「ん」
複雑に絡み合ってしまった私達の関係だけど、このままではいけない。
だから、私は勇気をもって、少しでも改善しようと思って、一つの告白をしようと決心した。
「あのね、斗真」
「なんだよ」
それは、私が昇華できなかった恋心。
「私ね、昔、斗真のことが好きだったの。ずっと……」
幼い私が、告げることもできずに抱えていた、恋心だった。
「……え」
「何も言わないで」
私は斗真の口に人差し指を押し当てた。
口にしてしまったら、楽になった。
心が、軽くなった。