似非恋愛 +えせらぶ+

 * * *

「お疲れ様!」

 みあのほっとした顔に、ねぎらいの言葉をかける。

「島田も頑張ったね!」
「ありがとうございます!」

 みあ達の手掛けていたプロジェクトが無事にリリースされたのだ。斗真達の働いているDiverCanyon(ダイバーキャニオン)と合同で動いていたプロジェクトだ。

「島田にとっては初めてのプロジェクトだったわね、本当に頑張ったわね」
「うわぁあ、篠塚さんに褒められた……っ!」

 馬鹿みたいにはしゃいでいる島田に、私も自然と笑みがこぼれた。

「次も頑張ってね」
「はい!」
「あの、香璃さん」

 みあに名前を呼ばれて、私はみあの方を向いた。

「どうしたの?」
「実は、プロジェクトの打ち上げが開かれることになったんです」
「あら、行ってくればいいじゃない」

 プロジェクトのキックオフや打ち上げはよくある話だし、他社と合同で飲み会することも珍しくない。

「香璃さんも出席してくださいませんか」

 みあの予想外の言葉に、戸惑う。

「私、最初の調整したり、ミーティングちょっと出たりしていたくらいで、あんまり関わってないわよ?」
「そうなんですけど、向こうもマネージャーの方が来るみたいで」

 そっか、それなら同じくらいの役職の人がこちらから出ていた方が無難だ。
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