似非恋愛 +えせらぶ+
「わかった。日程決まったら教えてちょうだい」
「ありがとうございます」
向こうのマネージャーとも顔は合わせているし、どうにかなるだろう。
「じゃ、よろしくね」
* * *
打ち上げの会場は、ちょっとおしゃれな居酒屋の個室で参加人数は10名ほどだった。案外、顔を知っている人も多く、ちょっと安心する。こちらの面子は、私、木戸さん、みあ、島田だ。
「あ、篠塚さんもいらしたんですね」
「あら、氷田君」
視界の隅で木戸さんが、私の隣に座った氷田君に対して何とも言えない視線を送っていた。それに気づかないふりをする。
飲み物が出そろい、乾杯をした後にみんな雑談を始めた。
「みあと話さなくていいの?」
隣に座っている氷田君にそっと訊くと、氷田君は思い切り苦笑した。
「うちのマネージャーと同じこと言うんですから……いいんです、みあとはいつでも会えますから」
どこか自分に言い聞かせるように言う氷田君が気になる。
やっぱり、彼のことが気になって仕方がない。
「ねえ、このあと、ちょっと2人で飲みにいかない?」
「え?」
目を見開く氷田君。そりゃあそうだろう、私達はまだ話すのが2回目の仲なのだ。
「みあの友達で、斗真の後輩の君に興味があるの。ちょっと、話をしてみたくて」