似非恋愛 +えせらぶ+
「ちょ、ちょっと待ってよ」
私は慌てて斗真を追いかけた。
「最近、連絡してこないな、お前」
「え……そうね、ちょっと立て込んでいて」
最近、私から斗真に連絡することはほとんどなかった。
引っ越しの準備や仕事で忙しかったこともある。けれど一番の理由は、斗真との関係を考え直していたせいだ。
まさか、それを斗真に指摘されるとは思っていなかった。
「なあ、香璃」
「うん?」
斗真を見てまずいと思った。これは、この色気たっぷりの表情は、ずるい。
「お前ん家、寄っていい?」
「……いいけど」
斗真がふっと微笑んで、私の手を握った。斗真の熱が、直接伝わってくる。
「じゃ、行くぞ」
斗真に手を引かれて、私達は私の家に向かった。