似非恋愛 +えせらぶ+

「で、どうした? 俺でよかったら話聞くぞ」

 木戸さんはやっぱりよく気が付くし、気配りができる。それに、優しい。みあが木戸さんに憧れるのは凄く良くわかった。

「ありがとうございます。そしたら、今日のランチ、一緒に行きませんか?」
「おう、わかった」

 木戸さんはぽんっと私の肩を叩いて、自分の席に向かった。


 会社から少し歩いたところにある絶品の洋食屋さん、そこで私と木戸さんは向かい合っていた。

「で、どうしたんだ?」

 注文を終えた後、木戸さんは時間を無駄にしなかった。

「どうしたと言われても、ちょっと言いづらいことではあるんですが……」
「言ってみろって」

 多分に言いにくいことだったけれども、お冷に手を伸ばしながら、私は口を開いた。

「男の人の考えることって、よくわからないなって思いまして」

 私の言葉に、木戸さんはきょとんとした表情を浮かべた。そして、思い切り怪訝そうに顔を歪めた。

「はあ?」

 馬鹿にするような反応に、私は思わず目を剥く。
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