似非恋愛 +えせらぶ+
「この前会ったばっかりじゃない」
『それはそうなんだけどさー。で、斗真とはうまくいってるの?』
それは今、一番訊かれたくないことだった。
斗真は由宇や私の家族に嘘をついた。その埋め合わせをどうすればいいのかを考えると、今から頭が痛い。
特に、両親は斗真のことを気に入っているから。
「うん? えっと……」
なんと言えば良いかわからず、言いよどんでいると、由宇は優しい声で続けた。
『でも、本当に良かった』
「え?」
由宇の言葉に、私は思わず訊きかえした。
『心配してたんだよ、私も』
「……どういうこと?」
訊きかえしたけど、少し間があった。
『だって、私のせいでもあるでしょ、斗真がいなくなったの』
「……気づいてたの?」
『まあ、あれだけ一緒にいれば、ね』
意外だった。
ちょっとふわふわしていて、ジョージさんのことばかり考えていた由宇が、斗真の気持ちに気付いていたとは。
『それに、香璃の気持ちだって知ってたわよ』
「…………」
『だから、嬉しかったの。貴女たちが付き合っているって聞いて』
きっとこれは、今だから言える由宇の気持ちなのだろう。