似非恋愛 +えせらぶ+

『私が申し訳なく思ってもさ、それっておかしな話だし、何も言えなかった。だって私はジョージが好きで、好きで、仕方がなかったんだもん。それって、謝るようなことじゃない。だけど、そのせいで貴女たちの関係にひびが入ってしまったって思ったら、悲しかった』

 確かに、私が斗真を好きだったことも、斗真が由宇を好きだったことも、ただ自分たちの気持ちに素直だっただけだ。
 だから、由宇がジョージさんを好きで、結婚を決めたことは何も悪いことじゃない。

 そのせいで斗真が私の前から姿を消したんだとしても、それは由宇のせいじゃない。斗真が純粋に由宇のことを好きだっただけなんだ。

『……ああ、駄目ね。本当はずっと黙ってるつもりだったんだけど……。嬉しいんだもん、貴女たちが一緒になってくれて』

 本当に嬉しそうな由宇の声に、騙しているという罪悪感で胸が痛む。

『ただ、それだけ伝えたくて……ごめんね、いきなり』
「ううん、ありがとう」

 こっちこそ、ごめん、由宇。
 私達は付き合ってなんかないの。

『じゃあね、おやすみ。斗真によろしくね』
「おやすみなさい」

 電話を切って、私は目じりの涙をぬぐった。そして、そのままの勢いで、斗真に電話をかけた。
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