似非恋愛 +えせらぶ+
フェーズ10
危機
私は、小城君に誘われて待ち合わせをしていた。ちょっとだけお洒落をして、化粧も普段と少し変えた。
「ごめん、待ったかな?」
「え?」
待ち合わせ場所についてほどなくして、小城君が現れた。その姿を見て、私は間抜けな声を出した。
「驚いた?」
「うん、でも、そうしてると大学時代を思い出すね」
黒い髪はそのままだけど、ちょっとお洒落にセットしているし、今日の小城君は黒縁メガネじゃなくてカラコンだった。
「今日は、誘ってくれてありがとうね」
「……篠塚さん、今日も可愛い」
じっと見つめられて褒められ、恥ずかしくなって俯く。やっぱり、小城君は真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる。それが、嬉しい。
「ありがとう、照れる」
小城君といると、私もなるべく素直に気持ちを告げようという気持ちになれる。
「じゃ、行こうか」
「うん」
今日は小城君に誘われて、水族館に行く約束だった。近くにある水族館だけど、近いからか、逆になかなか来る機会がなかった。
「へえ、こんな都内の水族館なのに、イルカショーとかもあるんだね」
「ね、凄いよね。今、ちょうどイベントもしてて変わった生き物もいるらしいよ」
エントランスにあるポスターを見て、ちょっと感動する。この青い雰囲気は凄く好きだ。