似非恋愛 +えせらぶ+
「あ、小城君」
「うん?」
そういえば、きちんと伝えてなかった。
「あの……この前のお返事なんだけど……、前向きに検討させてください」
「え、ほんと? いいの?」
私は頷いた。
「やった、嬉しい」
本当に嬉しそうに目を細める小城君を見て、私も嬉しくなった。その時、スマホが鳴る。確認して、私は眉をひそめた。
「え……」
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
私は差出人だけ見て中身も読まずに、そのままスマホを鞄にしまった。
斗真からのメールだった。
「ねえ、おなかすかない?」
「あ、いいね。何か食べよう」
私は小城君を促して、歩き出した。