似非恋愛 +えせらぶ+


 水族館の中のカフェでイルカの形のパンケーキを食べながら、私は少しだけスマホが気になってしまう。
 小城君は青いシロップのかかったパフェを食べている。

「いやあ、今日は本当にありがとう。篠塚さんと一緒にいられて嬉しい」

 目を細めて言葉にしてくれる小城君に、こっちの顔も緩む。

「私も、誘ってもらえて嬉しかったし、こういうところに来れてよかった」
「また来ようね」
「うん」

 小城君は優しい。一緒にいても飾らなくて済む。こういう人は貴重だと思った。その時、小城君がちょっと遠くを見て首をかしげた。

「あれ……?」
「ん、どうしたの?」
「えっと、うーん、なんでもない」

 小城君は笑って首を横に振った。どうしたんだろう……。

 そんな小城君の顔を見ていて、ふっと思ったことを口にしていた。

「でも、私、小城君はメガネの方が良いなぁ」
「え、そう? 結構カラコン気に入ってるんだけどなぁ」

 黒縁メガネの小城君はとっても優しそうな雰囲気だけど、カラコンの小城君はちょっぴりワイルドな雰囲気になる。髪型のせいもあるかもしれないけど。
 どちらかというと、黒縁メガネバージョンの小城君が安心した。
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