似非恋愛 +えせらぶ+
「大学時代、怖い人だと思ってたから」
「まあ、金髪カラコン男に積極的に近づきたいとは思わないよね。篠塚さん、見た目の割に真面目だし」
「あ、やっぱり私のこと派手だと思ってたでしょ」
「ばれた?」
他愛もない大学時代の思い出話も楽しい。
斗真とは、あんまり思い出話をしなかった。
それは私が一方的に斗真に恋をしていたという甘酸っぱい思い出のせいだった。
でもこれからは、お互い幼いころの過去の話としてもっと思い出話をしたいなと、ぼんやりと思った。
そしていつか、私達が慰めの関係になっていたことも思い出話にできればいいなと思った。
「篠塚さん?」
小城君に声をかけられ、はっとする。
「ご、ごめん、大学時代のことを思い出してた」
とっさに、言い訳をしてしまう。