似非恋愛 +えせらぶ+
私は斗真のことを割り切って、幼馴染みに戻ろうとしているというのに、まさか偽物の恋人同士をやっていたころよりまめにメールをしてくるとはどういう了見だろう。
斗真のことを意識しないようにしているのに、これじゃあ意識せざるを得ない。
「なんなのよ、もう」
そんなメールが5日も続いたころには、かなりのイラつきを覚えていた。
* * *
その日は、仕事終わりに小城君と会う約束をしていた。
昼休み、小城君から連絡がないかスマホを確認すると、斗真からのメールが来ていた。眉を顰めながら、メールを確認する。
『今晩、予定あるか?』
『今日は予定あるよ』
返信をして、ため息をついた。最近、斗真は連日私の予定を訊いてきている。そこにどんな意図があるのか私にはわからないし、知ってどうなるのかとも思う。
いったい、斗真はどうしてしまったんだろうか……。今度、直接会って話を聞いてみるのもいいかもしれない。
ヴッとスマホが鳴り、メールが届く。どきっとして確認してみれば小城君からだ。
『今日は楽しみだね。仕事は大丈夫そう?』
『今のところは大丈夫。もし遅れそうなら連絡するね』
小城君に返信をして、また深いため息をついた。