似非恋愛 +えせらぶ+
「ごめん、みあ、ありがとう」
「え、あ、はい。楽しんできてください……?」
よくわかっていな様子のみあをその場に残し、私は荷物を持ってすぐにオフィスを出た。すると、みあの言葉通り、斗真がオフィスの前で待っていた。
怒りの気持ちを押さえながら、私は斗真に近づいた。
「こんなところで何してるの?」
「おう、香璃」
「おう、じゃないよ。何しに来たの?」
怒り気味に訊く私に、斗真は困ったような顔をした。
「お前、今日はまっすぐ家帰れ」
「はあ?」
突然の要望に、私は思わず声を荒げてしまった。
「今日は用事があるって言ってるでしょう? それに大体、なんで斗真に家に帰れとか言われなきゃなんないの?」
先日からの斗真の過干渉に苛々していたこともあって、私はまくしたてた。