似非恋愛 ＋えせらぶ＋

　斗真がなんで、あんな風にかまってくるのか意味が分からない。もう、偽物の関係はやめたのだから、ああいう風に私にかまう必要はないんだ。

　それなのに、干渉してくる。
　忘れようとしている私に干渉してくる。

　せっかく、私が斗真と幼馴染の関係に戻る決断をして、別れを告げたのに。
　斗真のことを好きだったという気持ちに、封をしようとしているのに。

　新しい恋に向かって、歩き出そうとしているのに。

　これじゃあ、斗真のことが忘れられない。
　斗真の存在が私の脳みそを侵食してくる。

　もともと私の心の中を占める斗真の割合は大きいというのに……。

　怒りはしたものの、腹が立つものの、私は斗真を強く止められない。
　止めてしまったら、幼馴染みという関係すら失ってしまいそうだから。


　何をこじらせて今の複雑な状態になってしまったのかわからず、私は当惑していた。