似非恋愛 ＋えせらぶ＋

「……言ってみろって、楽になるかもしれないだろ？」
「いや、まあ……前に少し話をした幼馴染のことなんですけど」

　木戸さんに訊かれるまま、私は斗真の話をした。

「距離を置こうと思ったんです。そして私は、大学時代の同級生と付き合おうと思いまして……」
「なんだお前、モテモテだな」

　恨めしそうに舌を出した木戸さんに、私は苦笑する。

「全然、そんなもんじゃありませんよ。３年も付き合ってた人には浮気されるし……」
「で、それで、幼馴染みの話」

　脱線しそうになったところを、思い切り無理やり軌道修正してくる木戸さん。もとはといえば木戸さんのちゃちゃが原因なのに。
　納得がいかなかったけれど、話を続けた。

「その幼馴染が、やたらメールしてくるんです。私がどこにいるか確認してるみたいで……。前なんか、突然会社にまで来たりして」
「ふうん？」
「前は、全くそんなことなかったんですよ？　それが突然……。本当に何考えているかわからなくて。男の人って、本当に難しい」

　木戸さんは呆れたように私を見ている。むっとして、私は口を開いた。