似非恋愛 +えせらぶ+

 いつだって斗真のことを好きだったのは私だ。

 幼かったあの時も、再会した後も。
 斗真の方は、私のことなんて何とも思ってないはずだ。

 だって、由宇のことが好きだったんだから。
 だって、付き合っているふりだったんだから。

「お前な、そこまでされてなんで逆に気付かないわけ? どう考えたってその男、お前のこと好きだろうが」
「……嘘……」

 斗真が、私を、好き?

「そんなわけ……」
「まあ、信じないんならいいけど……。篠っちは大事な幼馴染みをなくしたくないって話をしてたしな。俺もそう思うし」
「……そうですよ、ただの幼馴染なんです、私達は」

 自分に言い聞かせるように、私は口にした。
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